The First Templar
Tropicoシリーズでおなじみ、開発Haemimont・発売Kalypsoのタッグの十字軍アクションRPG。
おもしろスクリーンショットを見てウケたので前から買おうと思ってたんですけど、こないだセールで安かったのでついに買いました。
買おうと思っていたのに迷ってたのには理由があって、Metascoreが50点台という「おや?と」思う数字だったんです。これを書いてる時点で56点ですか。
結論から申しますと、非常に正確な数字だと思います。
ご購入の際はそのことを念頭に置かれた上で各種レビューを熟読し、十分な割引率であることを確認してからになさることをおすすめしたいと思います。最低でもMetascore以上の割引率。無理に止めはいたしませんが。
お話は、十字軍の騎士が聖杯さがしする。「それはもういい」とか言わないで。
ストーリー的なネタバレはしません。知ってしまうと、あえてこのゲームする意味がほとんどなくなってしまいます。
「なに、そんなにおもしろいの?」と言われると「いや…それほどでも」と返す他ないんですが。
閑話休題、ではさっそく短所から。
とにかく省資源です。どこまで行っても敵が同じ。
陣営がテンプラー・フランス軍・サラセン・ハシシン・犬の5陣営、犬以外の陣営はそれぞれ地上部隊が3〜4種類、遠隔攻撃部隊が1種類ほどしか出てきません。しかもだいたい同じ攻撃パターンです。たぶん中の人は一緒。盾を持っている敵はまず盾をかち割らない限り果てしなく防御されます。犬は犬1種類のみで、各地でたまに出てきます。
フランスステージではときどき普通より二回りほど大きな巨人が出てきますが、違うのはガタイの大きさだけで見た目ほど特別強いとかいうわけでもありません。ボスっぽいくせに一発で倒せるカウンターがなぜか普通に効くので、その他のザコ同様あっさり倒せてしまうことがほとんどです。
1993年世界青年の日を恐れてはいけない
敵の種類は以上。行けども行けども出てくるのはおっさんと犬だけです。同じ敵が代わる代わる出てきます。ちょっとネタバレすると、ボスクラスの敵ですら例外ではありません。あえて違いがあるとすれば、ライフゲージが出るのがボス。
おねえちゃんはというと、味方に一人とNPCに一人の合計二人。おいらの記憶が確かなら、モブキャラにもいなかったと思います。何せ舞台が中世の修道院だの攻められてる最中の街だの野戦場だから、女っ気ゼロ。今どき珍しいくらいのストイックさです。
そんな稀少なお姉ちゃん資源にもあまり期待しないでください。土台の造形が残念ですしテクスチャだけ高精細にしてもあんまり変わりません。
次に、地域がコロコロ切り替わります。舞台は13世紀らしいんですが、ごくカジュアルにフランスと中東を行き来します。
当時のことですから数日とか数週間とかかかりそうなものですがそんなことはお構いなしで、「情報を集めるために中東に行こう→情報が手に入ったから暗号を解けるやつ知ってるしフランスに戻ろう→解けたから中東に行こう」みたいなノリで移動しまくります。そんなに安全なのかと言えば全然そういうことはなく、街が包囲されてて攻め落とされようとしてる真っ最中だし、行く先々で追い回されます。
今だってそこまでカジュアルに行き来できないよ! というか、十字軍の騎士の格好をした武装したおっさんがイスラエルに入国しようとしたら、普通に長時間尋問された上入国拒否されると思います。
エリアで思い出しました。このゲーム、そんなに移動が大好きなのにマップという概念がありません。エリアマップも全体マップも。マップを出すという操作自体がないんだから出しようがありません。
目の前に広がっている世界と、画面の左上にある地形図なしのレーダーマップが全てです。だから自分が世界のどのへんにいるのかは皆目見当がつきません。
幸いなことに、それでも困る場面があまりありません。なぜなら、ほぼ一本道だから。
レーダーマップで黄色いポイントで強制セーブされ、時にはそこで逆行不可能になります。このゲームの数少ないお楽しみは宝箱さがしなんですが、通りすぎたエリアの分は手に入らなくなってしまいます。
世俗の定義は何ですか
じゃあ一度取り逃すと永遠に取れないのかというとそうではなく、チャプター単位でやり直しできるんです。ただし、セーブは1データあたり1か所のみ。それも任意でのセーブはできません。さっきの黄色ポイントでの強制セーブのみ(またはチャプターの最初)。ローディングになったらだいたいそこでセーブされてるなと解釈していいんですが、やめどころが見つけにくい時もあります。パズルステージとか。
もうひとつ、他のゲームにあってこのゲームにはない特徴がありました。インベントリがありません。
いや、あるにはあるんですよ。ただ…ちょっと特殊なんです。
宝箱を開けると、メッセージで何々が手に入ったと出ます。これは普通です。なぜか宝箱の中に経験値や怒りゲージコマンドが入ってたりしますが、深く考えないようにします。
武器や防具も宝箱に入ってます。もちろんダイアログしか表示されません。
新しい武器が手に入ったらさっそく装備したいのが人情ですが、それはできません。というのは、このゲームの装備品は必ず2つないし3つセットになっていて、全部揃うまでは装備できないのです。全部同じエリアで手に入ればいいんですが、たまに別のステージに分割して置かれてるケースもあります。
しかも、3人のキャラクターそれぞれに初期装備含めて武器と防具各4種類ずつしかありません。比較的揃いやすいナイフを手に入れたんですが、見た目すらあまり変わった感じがしませんでした。
これは憶測ですが、装備を自由に変えられるようにすると装備同士のつじつま合わせ(丈が違う鎧と具足をつけても腹が出たりしないようにとか)や位置調整が面倒くさくなるので、まとめて装備した絵しか作ってないんじゃないかと思います。
それにこうするとインベントリ管理が固定リストのON/OFFだけにできるので、これまた省資源です。
あ、ちなみに買い物は一切できないのでお金も手に入りません。たまにキラキラしてる壺の水やおにくを食べると回復しますが、これは無料です。あと、主人公はしゃがんで祈るだけでモリモリ回復します(初期設定だと3キー)。怒りゲージを1個消費するものの、攻撃を受けて中断されない限りフルチャージできます。ボス戦の最中でも例外ではありません。そりゃアイテム要らんわな。
何は、IAドラング谷で起こった
変化をつけるためでしょうか、たまにパズル面やステルス行動を要求するステージが出てきます。
ステルス行動で見つからないように進め、というもののボーナス条件に「敵のキャンプを全滅させろ」とかがあってどうしろと。
敵もひどくて、視線が通らない限り目の前に仲間の死体があろうが、ひどい時には足元に死体が飛んでいってもノーリアクションです。
でも一旦視線が通れば死ぬまで追いかけてきます。何かバランスがおかしい。
あまり調整してない疑惑も散見します。
比較的わかりやすい例として、おねえちゃんのフィニッシュムーブで敵を押し倒してまたがりのど笛をかっ切るというのがあります。
これを普通の男サイズの位置しか作ってないらしくて、普通のおっさん敵より二回りほど大きい巨人でも同じのを使ってしまっています。そうするとどうなるのかというと、まるで巨人を去勢しているように見えます。いろんな意味で痛いです。
いや、それで正しいんだというなら、正しいんでしょう、開発者の中ではな。
細かいところでは、このゲームは常に二人一組で行動し、かつ両方が生きていないといけないルールです。
HPが0になると、一定時間内に近くに行って蘇生をしないとゲームオーバーです。至近のセーブポイントまで戻されます。
以上が前提条件です。
でだ、自キャラをそれぞれAとBとしましょうや。
Aがレバーを操作している間だけ開くゲートがあって、操作している間にBがゲートを通り抜けます。
Bがゲートの先にあるレバーを操作すると、Aも進めるようになるルートが開くって仕掛け。
問題は、そのゲートの先にHPが減るようなトラップがあった場合。
Bがトラップにかかって行動できなくなってしまったら、当然Aが助けにいかねばゲームオーバーになります。
でもレバーから手を離すとゲートが閉まってしまい、Bのところに行けません。
つまり、じわじわとゲームオーバー確定。それはわかった。しょうがない。
でもBが時間切れで死ぬまでメインメニューまで戻る以外にあきらめることすらできないんですよ。
テストプレイで気づかなかったのかなー。10分20分と待たされるわけじゃないですけど、結果はわかりきってるのに、ねえ。
あとはまあ、巨大触手とか超でかい怪獣とかは一切現れません。普通のおっさん98%・ちょっと大きいおっさん2%。
あー、一応攻城やぐらとかは出てくるかー。こっちも投石機で攻撃だからあんまり直接接触するわけじゃありませんけど。
ついでに、絵的にもそんなに特筆するべき点はありません。2007年くらいの絵です。ですが前述の問題に比べればもはやどうでもいい些細な問題です。
いい点はないのかと言うと、うーん、それだけ粗が多いのに開発元がそこそこ経験値と実績のあるところだけに、一応は成立してるんですよね。
別に特筆するほどの美点はなく、やりすぎ気味な省力化が目立ち、かといって致命的バグとかもなく、まあそこそこは遊べるというヘンな手堅さ。
以上のことから、最初に申し上げた通りMetascore56点はきわめて妥当であると思うのです。赤点でも70点でもなく。56点。実に絶妙。
Metascoreはいろんなレビューを平均して算出しているので見た目のバッサリ感に比べて根拠は案外モヤモヤしており、人気作やFPSでは相当甘めに、不人気好きな人は好きなジャンルの雄RTSやパラドゲーなどでは70点台でもまあまあと言っていいくらい渋めに出るなどジャンルによる偏りも大きいんですが、これは珍しく体感と一致する点数でありました。
最後に一つご注意。
Additional ContentにArenaというミニゲームみたいなものがありますが、本編とセーブポイントが同じなので本編をやってる最中に気分を変えるつもりでやると進行が破棄されチャプターの最初まで巻き戻ることになります。
だからクリア後とかチャプターの切れ目とか、始めるタイミングを見計らう必要があります。
始める時に注意されますけどね。
中身? タイトル通りですよ。円形競技場で、大量のおっさんといつも通り戦う。
以上です。
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